商標問題・商標権侵害TOP → 不正競争防止法裁判例

デザイン画の保護(東京地裁H27.9.30 平成26(ワ)17832)

 本件は、原告が被告に対し、原被告間で締結した業務委託契約に基づいて、未払業務委託料及び債務不履行に基づく損害賠償請求をすると共に、原告が業務委託契約に基づいて販売権を有することの確認、さらには、被告が販売する衣料品目録記載の各デザインを化体した衣料品は原告のデザインを模倣したものであるとして不競法2条1項3号,3条1項に基づき,当該衣料品の販売の差止め等を求めた事案である。

 契約責任についてはここでは述べないが結論的には契約責任が一部認容されているが、商品形態模倣行為を理由とする不競法に基づく差止め請求は棄却された。

判示事項

3号の商品の形態の該当性

「不競法2条1項3号は,「他人の商品の形態(・・・)を模倣した商品を譲渡」等する行為を不正競争として規定するところ,同条4項に「この法律において『商品の形態』とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう。」と,同条5項に「この法律において『模倣する』とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。」とそれぞれ定めているところからすると,同条1項3号にいう「商品の形態」とは,これに依拠して実質的に同一の形態の商品である「模倣した商品」を作り出すことが可能となるような,商品それ自体についての具体的な形状をいうものと解される。」

「これを本件についてみると,原告が「商品の形態」に該当すると主張するのは別紙衣料品目録の別紙デザイン図に示される本件デザイン画であり,これを「模倣した商品」であるとして,原告がその販売等の差止めを求めるものは被告が販売するパーカ,ジャケット等の衣料品である(甲20,21の1,2)ところ,本件デザイン画は,衣料品の観念的・概略的なデザインにすぎず,いずれもその品目に示された衣料品等の具体的な形状を示すものではないから,被告の販売する衣料品等は,不競法2条1項3号にいう「他人の商品の形態・・・を模倣した商品」には当たらないというべきである。」

コメント

 本件は、3号に基づく請求ですが、その構成が変わっていたため取り上げました。

 3号については、「商品の形態」に関するデッドコピーを規制するものであり、『商品の形態』とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいいますので(不競法2条4項)、商品の形態は、商品形状や商品形状と結合した模様等である必要があり、商品から離れた抽象的なものは保護が及びません。

 今回の原告は、デザイン画をここでいう「商品」として捉え、当該デザイン画によって製作できる衣料品等の差止めを求めました。デザイン画がどの程度のものであったのかはわかりませんが、裁判所は、デザイン画を観念的・概略的なデザインにすぎないとして衣料品等の形状を示すものではないとして、被告衣料品が他人の形態を模倣した商品に該当しないと述べております。原告が、商品の形態の「商品」を衣料品とせず、デザイン画自体とした理由はよくわかりませんが、原告はデザインしたものの衣料品として販売していなかったのかなとも思います。デザイン画自体が相当に具体的であった場合でも、差止めの対象となる商品と結合していないデザインである限りは、3号の保護は及ばない気がします。本件のような場合は通常著作権侵害を理由とすると思われますがそれを主張していないのには何か理由があるのかと思われます。
3号はあくまで商品の形態の保護であり、商品の形状と結びついていない抽象的デザインには保護は及ばないということだと思います。勿論、デザイン画という独立した商品と捉えれば、そっくりのデザイン画については差止対象となると思われます(もっとも、通常は著作権侵害の構成で行くと思われますが。)。はっきりとしてことがよくわからない事件です。

お問い合わせ方法

 商標問題や不正競争防止法に関する相談・依頼をご希望の方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。