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ドメイン不正使用、品質誤認(東京地裁 H26.12.18 平成 26年(ワ)18199号)

 本件は、インターネット上のウェブページにおける不正競争によって権利を侵害されたとする原告が、不正競争防止法2条1項12号又は 13号の不正競争を行った者に対する損害賠償請求権等の行使のために各ウェブページが蔵置されたレンタルサーバーを保有管理する 被告に対し、プロバイダ責任制限法に基づき,発信者情報の開示を求めた事案
 2条1項12号ではドメインの不正の利益を得る目的でなされたのか、13号では、品質誤認に該当するのか、という点が争点となり、 結果としては、原告が主張する事実を認めた上で請求は全て認容された。

判示事項

ドメインの不正使用にあたるか
「・・・,本件サイト1には本件ドメイン名が使用されていることからして,本件サイト1の契約者は,本件ドメイン名を使用する権原 を有するなど,本件ドメイン名の契約者と何らかのつながりがあると考えられるところ,本件サイト1のトップページの内容は, 圧倒的な販売実績を有する優れた家庭用脱毛器であるとして原告商品を紹介した後,価格が高いのがその唯一の弱点であると指摘し, 結局は,同じ性能であるのに安いとして訴外会社商品を紹介し,その販売サイトへ誘導するというものである。 これらの事実を総合考慮すると,本件ドメイン名の現在までの登録者や本件サイト1の契約者は,訴外会社又はその関係者など訴外会 社商品の販売に関わる者(以下「訴外会社商品関係者」という。)である蓋然性が高いと認められるのであって,本件サイト1の契約者は, 原告表示と類似する本件ドメイン名を使用して,原告商品との混同を生じさせ,その顧客吸引力を利用して,訴外会社商品に誘引して販売利益を上 げようとして,本件ドメイン名を本件サイト1に使用していると認められる。
ウ したがって,本件サイト1の契約者は,不正の利益を得る目的で,原告の特定商品表示である原告表示と類似の本件ドメイン名を使用す るもので あり,不正競争防止法2条1項12号の不正競争に当たる。」


品質誤認にあたるか
「本件サイト2において使用されているドメイン名「脱毛器徹底比較.com」の登録者は,「LAVIE Inc.」であり,その所在地は訴外会社 の旧所在地と同じであると認められるから,やはり訴外会社商品関係者であると考えられる。そして,本件サイト2には本件ドメイン名 が使用されていることからして,本件サイト2の契約者は,本件ドメイン名を使用する権原を有するなど,本件ドメイン名の登録者と 何らかのつながりがあると考えられるところ,本件サイト2の内容は,訴外会社商品が出力もコストパフォーマンスも総合評価も1番高い 家庭用脱毛器であるとの事実を摘示して,家庭用脱毛器を購入するなら訴外会社商品が最もよいと勧めるというものである。
 これらの事実を総合考慮すると,本件サイト2の契約者もまた,訴外会社商品関係者である蓋然性が高いものと認められるから, 本件サイト2は,単なる家庭用脱毛器の比較サイトではなく,訴外会社商品の広告であると認めるのが相当である。
 本件サイト2には,訴外会社商品について「78ジュールの出力は業界ナンバー1」であり,原告商品は52ジュールである旨の記載 があるが,証拠(甲5)によれば,家庭用脱毛器の出力を表すジュール数の計測方法には統一的な基準がなく,測定条件によって数値が 大きく異なるところ,訴外会社商品の出力が約78ジュールとなる測定条件と同一の条件下で原告商品の出力を計測した結果は,約1.4倍の 約110ジュールとなることが認められる。 そうすると,本件サイト2において,訴外会社商品の出力について上記のような断定的な記載をすることは,訴外会社商品の出力性能 という品質について誤認させるような表示をするものであると認めるのが相当である。
・・・そして,原告が家庭用脱毛器の販売を営んでいることに照らすと,原告は,前記の各不正競争により,営業上の利益を侵害され ,また,今後もこれを侵害されるおそれがあると認められる」

コメント

 本件は発信者情報開示請求訴訟であり、被告自身が不正競争行為を行っているわけではないため、不正競争行為に関する部分は原告の 主張がそのまま認容されている(おそらく、証拠も原告しか提出しておらず、被告は反証していない。) もっとも、2条1項12号の他13号も認容されており参考になる。12号ではドメインの使用が不正目的か否かについて、HP記載内容を認定 した上で、原告商品との混同を生じさせ,その顧客吸引力を利用して,訴外会社商品に誘引して販売しようとしている点を捉え不正目的を 認定している。また、13号については、実際の表示されている性能とは異なる結果を証拠として提出し、断定的記載していることをも って誤認表示としている。なお、14号の場合、虚偽性が必要となるが、本件では測定方法により値が異なるという事情もあり絶対的な数値 として虚偽記載であったとまでは証明できないため、14号ではなく13号を採択したのかもしれない。実際に、12号、13号該当性が争われた場合、 どのような結論になるかはまだわからない。